「50代 転職エージェント 断られる」で検索して、登録するか迷ってしまった。
断られるくらいなら、最初から登録しないほうがいいのではと思えてくる。
先に結論をお伝えすると、50代がエージェントに断られることは、実際にあります。
ただしそれは、あなたの能力が足りないからではありません。
エージェントがどこからお金をもらっているかという仕組みの問題です。
そこでこの記事では、現役キャリアカウンセラーの筆者が、50代が断られる仕組み、断られても問題ない理由、そして断られにくくする方法を具体的に解説します。
50代はエージェントに断られるのか

50代になると、転職エージェントに断られることはあります。
ただし、断られても失うものは何もありません。
エージェントとの面談で違和感があった
「50代だと相手にされない」という話は、残念ながら作り話ではありません。
53歳の相談者さんは、エージェントの担当者から「100社以上面接を受けなきゃだめですよ」と励まされたそうです。
少し体育会系に寄っていて、「30代ならともかく、自分の年齢とは合っていないのかもしれない」とおっしゃっていました。
3か月過ぎると紹介メールが下火に
一方、54歳の方は3か月を過ぎたころから紹介そのものが来なくなったそうです。
退会を求められたのではなく、静かにフェードアウトする感じで、「サービスが終わったんだなと実感した」と。
50代に紹介できる案件が限定される
そして、55歳くらいの相談者さんになると、次のような経験をした話をよく聞くようになります。
「現在ご紹介できる案件が限られております」
丁寧だったからこそ、「家に帰ってから効いてきた」とみなさんおっしゃいます。
なので私は「そんなことはありませんよ」とは申し上げません。
いま紹介した3点には、どれもはっきりした理由があるのです。
エージェントに断られて失うものはない
エージェントに断られても、何も失いません。
登録に1円もかかりませんし、今の会社に所在確認などの連絡がいくこともないからです。
もちろん、履歴書に「転職エージェントに断られた」と書く欄もありません。
失うのは登録にかかる20分ほどの時間だけです。
かなえ他社に情報は共有されない
もうひとつ、よくいただく質問にお答えします。
「1社に断られたら、その情報が他のエージェントにも伝わりますか?」
答えは「もちろん、伝わらない。」です。
エージェントは人材紹介の許可を受けて事業をしていますから、個人情報の漏洩は基本的にありえません。
A社で断られた翌日にB社へ登録しても、あなたがA社で登録していることを知らないのです。
断られてもあなたのせいではない理由
断られる理由はあなたの経歴や能力ではありません。
エージェントの仕組みとお金の流れで決まっているだけです。
お金を払うのは採用側だけ
転職エージェントに登録すると、あなたの代わりに採用する企業側が費用を負担します。
しかも、けっして安くありません。
リクルートエージェントが企業向けのページで採用にかかる費用を説明しています。
料率は、採用する人材の理論年収(採用された人が1年間に得る総額の概算値)の最大50%まで設定できますが、35%の設定が一般的です。
リクルートエージェント「人材紹介の手数料の相場はどれくらい?」企業向けページ
年収600万円の人がひとり入社すると、企業は210万円ほどをエージェントに払う計算になります。
え?そんなにかかるんですか?
かなえ報酬額を知れば、エージェントの担当がどのように進めていくかはある程度想像できると思います。
ちなみに手数料は入社が決まったときにだけ発生します。
エージェントのお客様は企業

つまりエージェントにとって、お客様は企業のほうです。
登録中のあなたはお客様ではなく、企業に届ける「商品」の側にいます。
私たちって商品になっているのね…
厳しい言い方に聞こえたら、すみません。
でも、この一点さえわかれば、話がすべてつながります。
つまり企業が求めていない人を紹介しても、エージェントには1円も入りません。
結果として企業が求めていない条件の方には、案件を紹介しないのです。
50代でも大丈夫な人がいる事実
例外として55歳を過ぎても、「ご紹介できる案件が限られております」と言われない方がいます。
- 海外勤務の経験が長い
- 工場長を務めた
- 語学が堪能
求人票には「海外拠点の立ち上げ経験」「生産管理の責任者経験」といった条件が書かれていれば、担当者はすぐに動けます。
逆に「28年間、まじめに勤めてきました」では、どの求人票とも結びつかないのです。
担当がつく人とAI任せになる人の特徴

あまり知られていないことなのですが、登録した人全員に担当者がつくわけではありません。
企業が求めている人材だと判断されれば、担当者がつきます。
そうでない場合は、ほぼAIによる紹介になります。

「登録したのに連絡が来ない」「面談のあと、放置されている気がする」
こういうご相談をよくいただきますが、初めから担当者がついていないのです。
かなえすべての担当者は50代が得意ではない
実は担当者がついたとしても、その担当者が50代を得意にしているとは限りません。
エージェントの主戦場はいまも30代から40代です。
30代から40代で通用してきた進め方が、そのまま当てはめられることがあります。
先ほどの53歳の方が言われた「100社以上面接を受けなきゃだめですよ」は、その典型例です。
100社以上受けるなんて、就活依頼だわ。私には無理かも…
30代の方に向けた助言としては間違っていません。
ただ50代の転職は、数を打つより、合う1社を見極めるほうが決まりやすい。
53歳の相談者さんが「自分の年齢とは合っていないのかもしれない」と感じたのは、正しい感覚でした。
エージェントの助言が合わないときは、あなたがおかしいのではなく、担当者の型が違うと考えてみましょう。
担当者の変更は可能です。
言いにくければ、別の会社に登録すれば済む話です。
紹介案件が3か月で止まる理由

先ほどの54歳の相談者さんは、3か月を過ぎたころから紹介が来なくなり、静かにフェードアウトしていった方です。
多くの方は案件が来なくなると「見捨てられた」と受け取りますよね。
実は、案件が3か月を境に減っていくのには理由があります。
利用規約に明記されている
事実としてリクルートエージェントの利用規約にこう書かれています。
第4条(転職支援サービス提供の期間) このうち前項に定めるサービスのdおよびeについては、原則として、利用者個々に当該サービス開始の通知を行った日から3カ月間を上限に提供します。
リクルートエージェント転職支援サービス利用規約
規約どおりです。冷たくされたわけでも、見放されたわけでもありません。
最初から期間が決まっている。
対策しないまま3か月目を迎えると、「案件が来なくなった」で終わってしまいます。
規約の話であり、あなたの評価ではない
案件が来ないのは、規約上の話であって、あなたの評価ではありません。
「退会してください」と言われないのも同じ理由です。
あなたを追い出しているのではなく、支援の期間が終わっただけなので、エージェントもわざわざ連絡する機会がないのです。
再開できる場合もある
なお、期間が終わっても、あらためて相談すれば再開できる場合があります。
「連絡が止まった=終わり」ではありません。
そして、これを知っていれば打ち手があります。
3か月という区切りがあるとわかっているなら、最初の1か月を無駄にしないことです。
登録してから職務経歴書を書き始めると、それだけで1か月が過ぎてしまうからです。
エージェントによって断られ方が違う

エージェントとひとくくりにされがちですが、断られ方はサービスを提供する会社によって違います。
ここは私が現場で見てきた範囲のお話になります。
| サービス | 仕組み | 断られ方 |
|---|---|---|
| リクルートエージェント | 紹介型 | 3か月を過ぎると紹介が止まる |
| doda | 紹介型 | 相談には乗ってくれる |
| ビズリーチ | スカウト型 | 紹介できる案件がないと通知が来る |
| リクルートダイレクトスカウト | スカウト型 | 声がかからないまま時間が過ぎる |
ビズリーチは案件なしと通知
ビズリーチはハイクラス向けのサービスです。
該当しない条件の方には、「あなたに紹介できる案件がありません」という趣旨のお知らせが届きます。
はっきり言われるので、正直こたえます。
ただ、これは年齢だけで切られているというより、そのサービスが扱っている求人の水準に合わなかった、ということです。
スカウト型は在庫として扱う
ビズリーチとリクルートダイレクトスカウトは、同じ仕組みで動いています。
まず登録者を集めて、人材のリストを作る。
そのリストにヘッドハンターがアクセスして、企業に売り込んでいく。
つまり、あなたは棚に並べられて、売り込んでもらうのを待つ立場になります。
売り込みにくいと判断された方は、業界の言い方では「不良在庫」とされ、案件の紹介すら来なくなります。
ちょっとショックが大きいというか…
かなえたしかにひどい言葉だと思います。私もこの言葉を読者の方に使いたくはありません。
再度念を押しますが、これはあなたの人としての価値の話ではありません。
その仕組みの中で、たまたま「売り込みやすい形をしていなかった」というだけです。
売り込みやすい形かどうかは、職務経歴書の書き方を変えるだけで変わります。

dodaは相談に乗ってくれる
一方で、dodaは比較的、親身に相談に乗ってくれる印象があります。
ただし、必ず転職が決まるという意味ではありません。
ただ、話を聞いてもらいながら考えを整理したい方には向いています。
登録ボタンの前で止まっている方には、まずこのようなサービスから始めてみることをおすすめします。
かなえ50代の転職は10年で6倍に増えた

ここまで少し冷たい話が続きましたが、ここからは違います。
市場のほうがはっきり変わってきている事実をお伝えします。
35歳転職限界説は過去のもの
リクルートが2025年3月に発表した調査では、ミドル世代(40〜59歳)の転職は、10年で約6倍に増え、50代の転職者の伸びが顕著だと報告されています。
35歳転職限界説は過去のものになっており、企業が求める経験を持っている方を採用する動きが加速している
リクルート「ミドル世代の転職は10年で約6倍へ」2025年3月25日発表。リクルートエージェント経由の転職者データの分析・有効回答数は非公表
10年前と同じ感覚で「50代は無理だ」と判断するのは、もったいないということです。

決まった人の半分は50代以上
もうひとつ、私の勤務先の数字をお話しします。
2025年にエージェント経由で転職が決まった方の年代の内訳です。
| 年代 | 割合 |
|---|---|
| 50〜60代 | 47% |
| 40代 | 27% |
| 30代 | 13% |
| 20代 | 8% |
| 「エージェント経由で転職が決まった方の内訳」 | |
※社内の研修資料より。全体の人数は非公表のため、割合のみでご紹介します。
決まった方のおよそ半分が50代以上でした。
職種でいうと、営業・企画・事務が53%で最も多く、次いでITと電気が続きます。
ただし「50代の47%が転職できた」という意味ではありません。
「決まった方のうち、47%が50代以上だった」という内訳です。
それでも、エージェント経由で決まっている方の半分が50代以上だという事実は、知っておいて損はないと思います。
そして職種でいちばん多いのは、特別なIT技術ではなく、営業・企画・事務です。
「今どきのスキルがないと無理でしょうか」というご相談をよくいただきますが、実際に決まっているのはこの層なのです。
50代の追い風には理由がある
都合のいい話だけをするのはやめておきます。
先ほどのリクルートのリリースには、こういう但し書きがついています。
これは『リクルートエージェント』内でミドルシニアの転職支援に関するプロジェクトが立ち上がったことも要因として挙げられる
リクルート「ミドル世代の転職は10年で約6倍へ」2025年3月25日発表
つまり、市場が勝手に変わったというより、エージェント側が力を入れ始めた結果でもあると、リクルート自身が認めているわけです。
これは悪い話ではありません。
むしろ「エージェントが50代を取りに来ている」ということですから、登録する側にとっては追い風です。
ただ、「時代が変わったから誰でも決まる」と読むのは行き過ぎです。
追い風は吹いている。そのうえで帆を張る準備は必要です。
エージェントに断られにくくする方法

ここからは、実際に行動に移す話に入ります。
登録する前に3つ、登録するときに2つの、合計5つだけです。
得意分野を1つだけ決める
先ほどお話ししたとおり、55歳を過ぎても「案件がありません」と言われない方には、共通点があります。
求人票の条件と、そのまま結びつく一言を持っていることです。
海外勤務、工場長、語学。
こう書くと「自分にはそんな立派なものはない」と思われるかもしれません。
でも、必要なのは立派さではありません。具体的であることです。
たとえば、こう言い換えてみることはできないでしょうか?
| 結びつかない言い方 | 結びつく言い方 |
|---|---|
| 営業を28年やってきました | 製造業向けの法人営業を28年、同じ担当先を10年以上 |
| 経理をひととおり | 月次決算と年次決算を25年、従業員200名規模で |
| 現場のとりまとめ | 30人の製造現場で品質管理と後輩育成を担当 |
右側なら、担当者は求人票と照らし合わせることができます。
左側ではできません。
同じ経歴を書いているのに、扱いが変わります。
1つでいいので、右側の形にしてから登録してみましょう。
▶強みの見つけ方はこちらで詳しくお話ししています。合わせて参考にしてください。

職務経歴書を先に整える
職務経歴書をエージェントに登録してから書こうと思っていませんか。
順番が逆です。
先ほどお話ししたとおり、担当者がつくかどうかは、あなたの情報を見て判断されます。
その判断材料が空欄だらけだと、AI任せのほうに回ってしまいます。
登録前に職務経歴書を仕上げておく。
これだけで、担当者がつく確率が変わります。
▶書き方は以下にまとめました。


なお、経験の棚卸しは数年分では足りません。
リクルートのキャリアアドバイザーも、こう言っています。
ご経験を棚卸しする際には、過去数年の内容だけではなく、数十年単位で振り返ることも重要です
リクルート「ミドル世代の転職は10年で約6倍へ」2025年3月25日発表
10年以上前のことを書くのは気が引ける、という方が多いのですが、そこにこそマッチングの手がかりがあります。
無料で使える棚卸しシートをダウンロードしてぜひ書いてみてください。
譲れない条件は1つに絞る
条件を並べるほど、紹介できる求人はなくなります。
正社員で、年収は今のまま、通勤は1時間以内で、残業なし。
この4つを全部つけると、50代向けの求人はほとんど残りません。
絶対に譲れないものを1つだけ決めて、あとは幅を持たせてください。
年収なのか、勤務地なのか、雇用形態なのか。
ここを決めるだけで、紹介される件数が変わります。

50代を扱うサービスを選ぶ
ここからは登録するときの話です。
最初の1社を間違えないでください。
ハイクラス特化のサービスに登録して「紹介できる案件がありません」と言われると、それだけで心が折れます。
まずは求人の幅が広いところ、相談に乗ってくれるところから始めてください。

複数のサービスに登録しておく
1社ずつ試して、断られて、落ち込んで、また次、というやり方はおすすめしません。
時間がかかるうえに、断られるたびにダメージを受けます。
他社にあなたの情報は共有されません。
同時に2〜3社へ登録して、いちばん話しやすい担当者と進めればいいのです。
3か月の決まりがあることを考えても、同時に動いたほうが合理的です。
エージェントに断られてもここから入れる

最後に、エージェント以外の入口をお話しします。
転職エージェントに登録するのは、唯一の道ではありません。
求人サイトは断られない
求人サイトは、あなたが自分で応募する仕組みです。
あいだに立つ人がいないので、入口で断られることがありません。
エージェントに紹介してもらえなかった求人でも、自分で応募する分には自由です。
企業側から見ても、エージェント経由だと手数料がかかりますが、直接応募ならかかりません。
同じ人が応募したとき、直接応募のほうが通りやすい場合すらあります。
エージェントで案件が来なくなったからといって、転職そのものが終わったわけではないのです。

無料相談だけの場所もある
「転職するかどうか迷っています」という段階の方には、どうしても転職の軸を固める時間を割きにくい構造になっています。
一方で、相談そのものを引き受けている場所もあります。
企業からの手数料ではなく、相談する本人から料金をいただく形です。
お金の出どころが違うので、転職しない道も一緒に考えてもらえます。
40代・50代向けのサービスとしては、ライフシフトラボなどがあります。
内容や料金についてはこちらにまとめていますので、参考にしてください。

かなえまとめ:断られる前に仕組みを知っておけば怖くない

50代がエージェントに断られることは、実際にあります。
お金を払っているのが採用する企業だからです。
企業が求めている枠に合っていなければ、エージェントからの紹介はありません。
そして、55歳を過ぎても「案件がありません」と言われない方がいるのも事実。
違いは経歴の立派さではなく、求人票の条件とそのまま結びつく一言を持っているかどうかでした。
一方で転職市場は動いています。
ミドル世代の転職は10年で約6倍に増え、50代の伸びがいちばん大きいと報告されています。
私の勤務先でも、2025年に決まった方の半分近くが50代以上でした。
しかも多いのは特別なIT技術ではなく、営業・企画・事務の経験を持つ方たちです。
準備に時間をかけて臨めば、きっと自分に合った道が見つけられるはずです。
▶55歳前後で年齢そのものが気になっている方は、こちらもあわせてどうぞ。

かなえ▶提示された年収の低さがこたえている方は、50代の転職はみじめ?:年収3割減でも平気な人とつらくなる人の差 >もあわせてどうぞ。


